「軽トラの荷台から荷物がはみ出ても問題ないのだろうか?」
「荷物が荷台からはみ出してしまうときの対処法は存在するの?」
このような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
実は、荷台に積載する量は道路交通法によってルールが決められています。
本記事では、道路交通法で定められている積載制限や違反した際の罰則、荷台からはみ出したときの対処法について分かりやすく解説します。
Contents
道路交通法で定められている積載制限について
軽トラックの積載制限は、道路交通法により定められています。
元々、積載制限は以下の基準で定められていました。
旧積載制限
長さ | 自動車の長さ+長さの1/10 |
---|---|
幅 | 自動車の幅 |
高さ | 3.8m |
しかし、2022年5月に車両制限令が改正されたことにより規制が緩和され、以下の基準で通行が可能になりました。
新積載制限
長さ | 自動車の長さ+長さの2 / 10 |
---|---|
幅 | 自動車の幅+幅の2 / 10 |
高さ | 3.8m |
つまり、軽トラックの荷台から荷物がはみ出ること自体に問題はありませんが、上記の基準を超えてしまうと違反となってしまいます。
自治体によって独自の条例や規制が設けられている可能性もあるため、実際に運送する際には必ず現地の規則を確認する必要があります。
安全な輸送のためにも、ルールをしっかりと理解し遵守することが重要です。
はみ出しなど積載制限に違反した際の罰則
積載物の大きさ制限違反は、違反点数1点と反則金7,000円(大型車の場合9,000円)が科されます。
重量超過の場合はより厳重で、最大6点の違反点数による免許停止、10万円以下の罰金または6か月以上の懲役となります。
特殊車両の場合は、制限値超過や許可証不携帯で100万円以下の罰金が科され、雇用主も処罰の対象です。
また、繰り返しの違反は悪質とみなされ、車両の使用停止期間延長や事業許可取り消しにつながる恐れがあります。
さらに、制限超過を認識しながら荷物を引き渡した荷主にも責任がおよびます。
荷物がはみ出た状態で運ぶ際の注意点
道路交通法に基づき、軽トラックで荷物をはみ出して運搬する際は、以下の安全対策が必須となります。
- 荷台後部には30cm四方以上の赤布を必ず取り付け、他の車両への注意喚起を行う
- 積載物は運転手の視界やハンドル操作を妨げないよう配置し、車両の安定性を損なわないバランスで積むようにする
- 方向指示器やブレーキランプ、ナンバープレート、尾灯は他の車から見える状態を保つ
- 荷物の落下を防止するため、ロープやシートでしっかりと固定する
これらの安全対策は、事故防止と円滑な交通の確保のために不可欠な要素です。
軽トラの荷台から荷物のはみ出しを防ぐコツ
ここからは、軽トラの荷台から荷物がはみ出ないようにするコツを3つ紹介します。
- バランスの安定化
- ロープや固定具を正しく使用
- 微調整のテクニック
バランスの安定化
積載物のはみ出しを防ぐためには、適切な積み方の原則を守ることが重要です。
重量物は必ず下部に配置し、軽量物は上部に配置することで車両の安定性を確保します。
また、荷台の左右で重量バランスが均等になるよう注意を払い、急カーブや急ブレーキの際でも車両の安定性を維持できるようにしましょう。
さらに、荷物同士の間に隙間を作らないよう密着させて積むことで、走行中の振動や衝撃による荷崩れを防ぎます。
これらの基本原則を守ることで、安全な運搬と事故防止につながります。
ロープや固定具を正しく使用
荷物を安全に固定するには、ロープや固定具を正しく使うことも重要です。
荷物の形状や特性に適した固定具を選択し、ロープを使用する際は「8の字結び」など、走行中に緩まない結び方で確実に固定します。
また、より確実な固定のため、突っ張り棒やゴムバンドなど複数の固定具を組み合わせることで、荷崩れのリスクを最小限に抑えられるでしょう。
とくに振動や衝撃の多い道路状況では、固定具の選択と使用方法が荷物の安全な輸送を左右します。
固定具ごとの特性を理解し、状況に応じて適切に使い分けることが大切です。
微調整のテクニック
軽トラックへの積載作業では、積み込み後の入念な確認と調整が不可欠です。
荷物がはみ出しギリギリの場合、たとえ数センチでも基準を超えていれば、躊躇せず積み直しを行いましょう。
また、走行中の振動や衝撃による荷崩れを想定し、規定内で余裕のある荷積みを心がけます。
幌やゲートの確実な固定も重要な作業のひとつです。
さらに、ロープなどの固定具は定期的に劣化状態をチェックし、常に最適な状態で使用できるよう管理しましょう。
慎重な作業と日常的な点検の積み重ねが、安全な運送業務の基盤となります。
軽トラの荷台から荷物がはみ出してしまうときの対処法
どれだけ上手に積み込みを行ったとしても、荷台から荷物がはみ出してしまう場合もあるでしょう。
そのような場合は、以下で紹介する対処法を参考にしてください。
- 制限外積載許可申請書を提出する
- 荷台にやぐらを組む
制限外積載許可申請書を提出する
制限を超えて荷物を積載する必要がある場合、警察署長へ制限外積載許可申請書を提出しましょう。
車体幅から1m(最大3.5m)、左右0.5mまでの積載が認められる場合があります。
申請には以下の書類が必要です。
- 制限外積載申請書2部
- 車検証の写し
- 運転免許証
- 出発地から目的地までの経路図
- 荷姿図
- 特殊車両通行許可証(必要な場合)
特に荷姿図では、運転視界の確保や方向指示器の視認性、荷崩れ防止策などを明確に示す必要があります。
ただし、申請が必ずしも許可されるわけではないため、早めに申請することが重要です。
また、許可が下りない場合は別の輸送手段を検討する必要があります。
荷台にやぐらを組む
荷物のはみ出しを防ぐため、軽トラックの荷台をやぐらなどで改造することも選択肢のひとつです。
改造する際には、積載物の特性に応じて最適な方法を検討する必要があります。
ただし、改造時には安全面に配慮するため、以下の点に注意が必要です。
- 運転手の視界が狭くならないか
- 運転手のハンドル操作を妨げないか
- バックミラーによる後方確認が可能か
- 方向指示器やナンバープレート、ブレーキランプ、尾灯、後部反射鏡などが他の車両から確認できる状態を維持できているか
- 積載物の転落や荷崩れのリスクを最小限に抑えられる構造であるか
以上の点を考えながらやぐらを組み替えることで、より安全に荷物を運べるようになります。
軽トラの荷台に人は乗れるのか?
軽トラックの荷台から荷物がはみ出ることは、基本的に禁止とされていますが、人が荷台に乗ることは可能なのでしょうか?
ここでは、以下の3つについて解説します。
- 基本的なルール
- 許可される場合
- 注意点
基本的なルール
道路交通法第55条により、トラックの荷台へ人が乗車することは原則禁止されています。
理由は、荷台が人の乗車を想定した設計になっていないためです。
【参照】道路交通法 第55条
また、自衛隊車両で人員輸送が可能なのは、自衛隊法による特別な許可があるためです。
ただし、民間でも事前に申請して許可を得られれば、例外的に荷台への人の乗車が認められる場合もあります。
これは、荷台からの積載物のはみ出しと同様に、制限外積載許可の枠組みで対応される事項となります。
許可される場合
道路交通法第55条に基づき、管轄警察署への「荷台乗車許可」申請により、荷物の監督者として荷台への乗車が認められる場合もあります。
ただし、許可は必要最小限の人数に限定され、以下の条件を満たす必要があります。
- 積載物の監視が目的であること
- 車両の構造上、支障がないこと
- 道路・交通状況に問題がないこと
- 乗車者の安全が確保されていること
つまり、単なる人員の輸送目的で荷台を使用することは認められず、あくまでも積載物の管理を目的とした限定的な許可です。
注意点
注意点として、荷台乗車許可は積載物がある場合のみ有効で、荷物を降ろした後は監督者も荷台から降りなければなりません。
例えば、工事現場への運搬で監督者が荷台に乗車していた場合、荷降ろし後は荷台への乗車はできません。
帰路の移動には監督者用の座席を確保する必要があります。
また、監督者が荷台に乗車している場合は、荷崩れや転落の危険性があるため、より慎重な運転が求められます。
安全性の観点から、監督者の荷台乗車は必要最小限にとどめるべきです。
まとめ
ここまで、積載制限の概要や違反した際の罰則、はみ出しを防ぐコツ、はみ出してしまうときの対処法について解説しました。
軽トラックの荷物が荷台から一定基準はみ出してしまうと、処罰の対象となるため十分に注意しましょう。
積み方を工夫しても荷台から荷物がはみ出してしまう場合は、制限外積載許可申請書の提出や、荷台にやぐらを組むことも手段のひとつです。
積載制限について頭に入れることで、安全な運送を心がけていきましょう。